骨が硬いのは、カルシウムが沈着しているからです。
しかも、骨や歯に含まれるカルシウムは常に新陳代謝を繰り返し、新しく生まれ変わっています。
したがって、代謝により体外に排出される分は、毎日の食事から補給する必要があります。
食品中のカルシウムは、小腸で吸収され、血液に入った後、ホルモンやビタミンDなどの作用に
より、骨に沈着していきます。
働き
1)骨や歯の構成成分
リン、マグネシウムなどとともに、骨や歯を形成し健康を維持します。 2)心臓の鼓動を保ち、筋肉の収縮をスムーズにします。
3)神経の興奮を鎮め、精神を安定させます。
4)血液を固めて出血を防ぎます。
5)各種ホルモンや唾液、胃液などの分泌に働きます。
6)細胞の分裂、分化を促します。
7)白血球の食菌作用を助けます。
8)体内の鉄の代謝を助けます。
9)体液、血液の恒常性を維持(微アルカリ性に保つ)します。
要求量・推奨レベル AAFCO: 米国飼料検査官協会 (Association of American Feed Control
Officials)
Official Publication, 1999 より引用
最少栄養要素求量〜最大栄養素許容量 です。
NRC: 米国学術研究会議 (National Research Council)
National Academy Press, 2006 より引用
上段は、わんごはんの乾燥重量につきの値、
下段はわん体重1キロにつきの値です。
*1: 成犬時の体重が25キロ以上になる乳離れの終わった仔犬の場合、14週齢までは
カルシウム摂取量が540mg/kg(BW)を下回ってはならない。
CVMA: カナダ獣医医療協会 (Canadian Veterinary Medical Association)
Pet Food Certification Program.
Canadian Veterinary Medical Association, 1993 より引用
ドイツの資料より: 文字通りドイツの資料です(^^;。
パソにドイツ語フォントが入っていないため、
正しい表記ができませんでしたm(_ _)m。
わんの体重1キロにつきの値になっています。
欠乏症
カルシウムが不足すると、雌の犬猫の出産・授乳時に痙攣が起きやすくなります。
その他、成長抑制、食欲低下、骨の石灰化の抑制、跛行(はこう:歩行が正常でないこと)
自然骨折、歯のゆるみ、テタニー(筋肉の持続的な硬直、突っ張ったように震えること)、
痙攣、くる病などが起こります。
また、肉(筋肉)類にはリンが多いので、カルシウムとのバランスを考えず、
肉(筋肉)の多い食事を与えていると、
カルシウム欠乏症(症状:いらいら、跛行《はこう:歩行が正常でないこと》、筋肉の痙攣、
動悸、湿疹、骨密度の低下、骨粗鬆症、歯肉のびらん、コレステロール値の上昇、発� ��、
出血、高血圧、関節炎、繁殖困難、骨折)が現れます。
過剰症
食餌効率と摂取食事量の低下、ネフローゼ、跛行(はこう:歩行が正常でないこと)、
助軟骨の接合部分の肥大などが起こります。
また、過剰なカルシウムは、オキサロ酸カルシウム結石以外のカルシウム尿石の危険因子と
なります。
カルシウムの過剰は、成犬よりも急速に成長中の動物にとって有害であり、それは、とくに
大型・超大型品種の子犬に当てはまります。
供給源
骨:
卵の殻: 家庭で卵の殻を乾燥させ、粉状にひいて、自家製炭酸カルシウムパウダーを
作ります。卵の殻1個分で、約小さじ1杯のパウダーが出来上がり、� ��れには、
1,800mgのカルシウムが含まれるそうです。
カルシウムサプリメント(市販フードに添加されているものも含む)として
炭酸カルシウム(石灰岩、貝殻など)、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、
塩化カルシウム、グルコン酸塩カルシウム、乳酸カルシウム、
リン酸カルシウム(ボーンミール、魚の骨粉など)、L型発酵乳酸カルシウム
などがあります(カルシウム量は各サプリメントによって異なります)が、
塩化カルシウム、硫酸カルシウムは、尿pHを低下させ、
炭酸カルシウムは尿pHを上昇させると言われています。
カルシウムを多く含む食品(カッコ内は100g中に含まれるカルシウム量)
� �(科学技術庁資源調査会編 〔五訂日本食品標準成分表〕より引用)
パルメザンチーズ (1,300mg)
エメンタールチーズ (1,200mg)
(ちなみに、カッテージチーズのカルシウム量は55mg/100gと、上記2種のチーズに
比べかなり低い値となります。)
スキムミルク (1,800mg)
煮干 (2,200mg)
ひじき (1,400mg)
干しえび (7,100mg)
ゴマ (1,200mg)
などがあります。
カルシウムの吸収を助けるもの、阻害するもの
カルシウムは食品によって、吸収率が違います。
牛乳、乳製品で約50%、小魚類で約30%、野菜類� �約18%です。
(人間の場合の数値です)
牛乳の吸収率が高いのは、牛乳に含まれる乳糖や、リジン、アルギニンといったアミノ酸が
カルシウムの吸収を高め、カゼインが消化されるときに生じるカゼインホスホペプチド
(CPP)がカルシウムの吸収を促進するからです。
酢・レモン・りんごなどに含まれるクエン酸もカルシウムの吸収をよくします。
逆に、シュウ酸や、豆・穀類に含まれるフィチン酸、食物繊維は、カルシウムの吸収を阻害
すると言われています。
また、ビタミンC、Dは骨にカルシウムが沈着するのを促進します。
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